「給食がタダになったのは嬉しいけど、中身は大丈夫なの?」
「うちの子、牛乳が苦手だけど学校ではどうしてるんだろう」
選んでいただいた以上、議会での動きは見える形で報告したいと思っています。今日は令和8年6月定例会で取り上げた「学校給食の質」について、できるだけわかりやすく整理します。
2026年6月、無償化が始まった給食の「質」について議会で問いました
この4月、岡崎市の市立小学校で給食費の完全無償化が始まりました。
中学校でも4月分と12月分の無償化が、令和8年度予算で決まっています。
お金の負担が軽くなったことは、大きな前進です。
ただ、ここからは別の問いが立ちます。税で確保した予算を、子どもの栄養と学びにどう活かすか。給食の「質」をどう守るか、です。
6月議会では、この観点から4つの論点を一問一答で問いました。
① 食品ロス(食べ残し)
② 牛乳の運用
③ 給食時間と指導
④ 食材情報の透明性
ここで一つ、お断りをさせてください。
「給食の質」と聞くと、豪華なおかずや、栄養価の高い献立を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それも大切な「質」です。
でも今回はあえて、その手前にある土台を先に問いました。
いまある給食が、ちゃんと子どもの口に届いているか。飲めない子が置き去りになっていないか。落ち着いて食べる時間があるか。
献立を足す前に、いま出しているものを無駄なく、全員に届ける。これも立派な質の向上だと考えています。
ひとつずつ、整理していきます。
なぜ今、この質問をしたか(R6年12月の続きです)
実はこの議論、今回が初めてではありません。
2024年12月議会で、私は牛乳の選択制について市に問いました。
議員になって一ヶ月弱、初めての一般質問でした。
そのとき市の答えは、「食育で残さず飲んでもらう取組を大切にしたい」というものでした。
あれから1年半。運用は変わったのか、廃棄は減ったのか。今回はその追いかけ質問です。
一度聞いて終わりにせず、変化を確かめ続ける。これが議員の仕事だと思っています。
① 食品ロス — 食べ残しは年間およそ1.7億円分
まず食べ残しの実態です。市の答弁をグラフにしたのが、次の資料です。

資料1:学校給食の残食率(過去3年)/出典:岡崎市教育委員会提供/本多勝作成
注目したいのは2点です。
小学校は10.7%→9.8%と3年連続で改善しています。一方、中学校は令和7年度に3年間で初めて上昇に転じました。

資料2:献立区分別の残食率(3カ年平均)/出典:岡崎市教育委員会提供/本多勝作成
献立別に見ると、主食のごはんと副菜が頭一つ抜けて高い。日本の主食であるお米が残されているのは、少し残念な事実です。ちなみに資料にはありませんが、パンや麺の時は、残食が減るそうです。。。
そして、金額にするとこうなります。

資料3:学校給食の年間残食金額/出典:岡崎市教育委員会提供/本多勝作成
年間およそ1.7億円分の給食が、子どもの口に届かず処分されています
無償化は、皆さんの税金が財源になっているわけです。もちろん、すべてをゼロにできるものではありません。それでも、税で確保した食材費の一部が子どもの口に届かず処分されている現状は、構造的にも感情的にも見過ごせません。
年間の給食材料費は約21億円。そのうちの1.7億円ですから、見過ごせない規模です。
ここで気になったのが、市の削減目標です。
市は「前年度の残食率を下回るよう努力する」とのことで、具体的な数値目標は設定していないと答えました。
私は以前、IT企業で管理職をしていました。
正直に言うと、KPI(目標数値)も決めずに「去年より頑張ります」なんて報告したら、当時の上司にこってり詰められていたはずです。
民間の感覚では、目標を置かないマネジメントは、なかなか考えにくいんです。
もちろん、行政と民間で事情が違うのは承知しています。
それでも、目標を持たずに「前年より下げる」だけでは、抜本的な改善は見込みづらい。ここは引き続き丁寧に追わせていただきます。
一方で、前向きな動きもあります。
岡崎市は環境省のモデル事業に全国5件のひとつとして採択され、調理残渣を堆肥に変える取組が動き出しています。
授業を受けた小学生の約54%が「食べ残しが減った」と答えたそうです。学びと行動がつながった、いい兆しだと思います。
→ お金の無駄ではなく、減らせた分を質の向上に回す。その発想を市にお願いしました。
② 牛乳 — 3校の成果と、取り残される347人の子ども
次は牛乳です。私自身、子どもの頃はおかわりをジャンケンで奪い合うほど牛乳が好きでした。
それでもこの論点を続けるのは、牛乳が給食の中で長年「聖域」のように固定運用されてきたからです。

資料4:牛乳の廃棄本数・廃棄率(過去3年)/出典:岡崎市教育委員会提供/本多勝作成
牛乳の廃棄は、令和6年度の約28.2万本から令和7年度は約32.7万本へ増えました。
廃棄率は4.8%。インフルエンザの流行が要因のひとつとの説明で、これは理解できます。
ただ、牛乳の廃棄だけでも年間およそ2,000万円規模の食材費が処分されている計算です。
ここで希望が見えた答弁がありました。
栄養教諭がいる小中3校で、牛乳の有用性を伝える指導をしたところ、残食率が10.7%→6.4%、6.9%→3.6%などと大きく下がったのです。
管理栄養士として、これは素直に素晴らしい成果だと感じます。
問題は、この知見をどう広げるかです。栄養教諭は市内12校(4センター各3人)に配置されています。今回その中の3校で牛乳の取組を行い、大きな成果が出ました。
この知見を、栄養教諭のいない学校も含め全校へどう届けるか。市も「情報共有や巡回指導の体制整備に努める」と前向きに答えてくれました。
そして、もう一つ気がかりな数字があります。
体質などで牛乳の提供停止を申請した子は、令和7年度で347人。4年で約4割増えています。
でも今の岡崎市は、代わりの飲み物を出していません。つまり、その347人の給食には飲み物がない状態です。
牛乳が栄養面で欠かせないという立場なら、その牛乳を飲めない子こそ、給食の場で取り残されているのではないか。
同じ愛知県内の小牧市では、乳アレルギーの子に調整豆乳を提供しています。岡崎でも代替飲料を研究する余地はないか、と問いました。
あわせて、牛乳を選択制にしている自治体も出てきています。
多摩市では、栄養の大切さを丁寧に伝えたうえで、希望すれば学期単位で牛乳を止められる仕組みを設けています。(詳細はこちら)
飲まない子の分をあらかじめ用意しなければ、その分の廃棄は幾分か減らせるはずです。
もちろん「栄養は足りるのか」という心配はあります。だからこそ、廃棄の削減と栄養への配慮を両立させる形で、選択制も含めた柔軟な運用を研究してほしいと伝えました。
→ 誤配のリスクや費用など課題はあります。それでも「飲み物がない子」を放置しない検討を、続けてお願いします。
③ 給食時間 — 中学校は目安より6分短い
3つ目は、食べる時間です。
時間が足りないと、慌てて食べ残しが増え、給食の時間そのものが心地よくない記憶になりかねません。

資料5:給食時間と会食時間/出典:愛知県教委ほか・岡崎市教育委員会提供/本多勝作成
実際に「食べる時間」(会食時間)は、小学校23.0分・中学校20.3分で、県の目安におおむね沿っていました。
ただ、準備や片付けも含めた給食時間全体では、中学校が目安より約6分短いという結果でした。
20分前後で本当に十分か。ここは丁寧な検証が必要だと感じています。
完食指導については、市は「一律ではなく、一人ひとりの食べられる量や速さに応じて調整している」と答えました。
無理に全部食べさせるのではなく、個に応じる。今の食育の考え方に沿った姿勢だと評価しています。
→ ゆとりある時間と、一人ひとりに寄り添う指導。この両輪を引き続き見ていきます。
④ 食材情報 — 「有機」表記と、食文化条例×110周年
最後は、食材の情報をどう伝えるかです。
岡崎市は献立表で産地を公開し、市内産は太字、有機農産物はお知らせ欄で周知しています。
生産者が学校を訪問して話す取組もあり、食育の理念を体現するものとして高く評価しています。
一点、確認したのが「有機」という表記です。
市場では有機JAS認証がないと「有機」「オーガニック」と表記できません。一方、給食では認証外でも「有機」として伝えられている。
この違いに疑問を感じる保護者の声も届いています。市は「見える化ラベル」などで丁寧に説明していくと答えました。
また、本年4月に岡崎市食文化の継承及び振興に関する条例が施行されました。
八丁みそや家康公にちなんだ献立など、岡崎ならではの食文化を伝える取組を、市制110周年と結びつけて発信していく方針も確認できました。
→ 何を食べているかを、子どもと保護者が正しく理解できる。その透明性を求め続けます。
答弁を受けて、自分が次にやること
今回、市の着実な積み重ねを確認できました。同時に、宿題もはっきり残りました。
・食べ残しの削減目標を数字で持つこと ・1.7億円規模の廃棄を「質の向上」に振り向ける発想 ・栄養教諭3校の成果を、全67校へ広げる仕組み ・牛乳を飲めない子への代替飲料の研究
今後へとつないでいきます。
一度の質問で終わらせません。
最後に
給食って、ただの「お昼ごはん」じゃないんですよね。
子どもが「食べること」を学ぶ、大切な時間です。
私の息子はまだ1歳。給食を食べるのは、ずっと先のことです。
それでも、これから通わせる親だからこそ、いまの給食をちゃんと見ておきたい。管理栄養士として、なおさらそう感じています。
無償化でお金の不安が減った今だからこそ、その中身を守りたい。食べ残しを減らし、飲めない子に配慮し、ゆっくり食べられる時間をつくる。
豪華なおかずを増やすことだけが、質の向上ではありません。
いま提供しているものを無駄なく、一人残らず子どもに届ける。地味でも、ここが土台だと思っています。
派手な話ではありません。でも、子どもたちの毎日に直結する話です。小さな一歩ですが、続けます。
気になる点や「うちの学校ではこうだよ」という声があれば、公式LINEから気軽に教えてください。次の質問のヒントにさせていただきます。



