9月18日の岡崎市議会で、市立こども園・保育所の延長保育料を引き上げる第110号議案が、賛成33、反対3で可決されました。

私は反対しましたが、力及ばず申し訳ございません。
私の基本的な考えは、利用する家庭の負担増をできる限り抑え、市や国の公費で支えたいというものです。
そのうえで、追加の負担をお願いするなら、所得や世帯の状況への配慮も一緒に検討してほしい。値上げの経緯と、私が反対した理由を解説します。
2027年4月から、月額はどう変わるのか
可決された条例改正は、2027年(令和9年)4月1日に施行されます。下の図にある有料区分は、いずれも月1,000円の引上げ。現行の免除対象は変わりません。

料金を文字で確認する
平日16時〜17時30分
7〜8時・16〜18時(土曜を含む)
7〜8時・16〜19時(土曜を含む)
18〜19時
現行料金が設定されたのは2015年度。10年余りを経ての見直しです。
まず、公費で負担増を抑える方法を考えたい
延長保育は、すでに公費でも支えられています。働きながら子育てを続けるための保育を、利用者の負担だけで考えたくありません。
市の財源配分や国の支援を活用・充実できないか。まずそこを検討し、家庭への追加負担をできる限り抑えたいと思っています。
もちろん、公費も税金などで賄われます。ほかの子育て支援や行政サービスとの配分、継続できる財源まで含めて考える必要があります。
値上げの経緯
市が値上げを提案した主な理由は、人件費の上昇です。料金を据え置く間に、延長保育を続けるための費用が増えてきました。
その結果、費用全体に占める利用者負担の割合は、2015年度の15.4%から、2026年度の試算では8.1%へ低下しています。
保護者が支払う料金が下がったのではなく、運営費が増えたことで、利用者が負担する割合が小さくなったということです。
市は、この割合を15%とするため、各有料区分を月1,000円引き上げ、年約1,125万円の増収を見込むと説明しました。
本会議の賛成討論では、「15%を目安に計算すると必要な増額は月981円で、1,000円には根拠がある」「保育士を確保し、保育の質を維持するために必要だ」といった理由が示されました。採決でも、33人の議員が賛成しています。
私も、人件費が上がる中で財源を確保する必要性や、値上げの金額を導いた考え方には合理性があると理解しました。
ただ、そこからもう一歩踏み込み、誰に、どれだけ負担してもらうかまで考えるべきではないか。その疑問が残りました。
反対した理由は、3つあります
① 同じ1,000円でも、家計への重さは違う
同じ月1,000円の値上げでも、家計に余裕のある家庭と、毎月のやりくりが厳しい家庭では、受け止める重さが違います。
ひとり親で家計を支えている方や、子どもが複数いる家庭もあります。金額を一律にするだけで、負担も公平になるのでしょうか。
そこで採決前に、私は保育課へ照会しました。利用する家庭の所得区分や、料金を軽くする仕組みの検討状況を確かめるためです。
9月11日の回答では、利用児童は956人。このうち免除の36人を除く、920人が料金を支払っています。内訳を図にしました。

「C〜D2」などの記号は、市が通常の保育料を決めるために使う区分です。世帯の市民税の課税状況などに応じて分かれています。
私が特に気になったのは、税額が低い区分にあたる87人です。通常の保育料では、この区分のうち、ひとり親世帯や障がいのある方がいる世帯などに、年齢・世帯の条件に応じた軽減があります。
ところが今回の延長保育料では、免除対象を除き、税額が低い区分にも高い区分にも、同じ月1,000円の増額を求めます。
市は、延長保育を通常の保育時間を超える「選択的サービス」と説明しています。
ただ、仕事や通勤の都合で、利用を減らしにくい家庭もあります。同じサービスだから同じ額、という説明だけでよいのか。そこに疑問が残りました。
② 減免基準の見直しが検討されていなかった
今回の改定で、所得や世帯状況への配慮を検討したか。市の回答は、次のとおりです。
既存の減免基準の変更に関しては検討していません。
これは、今回の延長保育料の改定についての回答です。市の子育て支援全体に配慮がない、という意味ではありません。
利用児童には、ひとり親家庭の児童が38人います。これは世帯数ではなく、児童の人数です。
ひとり親であること自体による延長保育料の軽減はありません。ただし、市民税非課税などの条件に該当すれば免除されます。
一律の引上げには、仕組みが簡単で分かりやすい面があります。それでも、別の負担方法と比較したうえで決めてほしかったと思います。
10年余りぶりの改定です。料金だけでなく、減免の範囲を考える機会でもあったはずです。
③ 他市には、所得や年齢に応じた仕組みがある
近隣市の案内も確認しました。料金の高い・安いだけでなく、どのような配慮があるかを見ています。
- 安城市:2027年度の利用ガイドに、標準時間認定で19時まで利用でき、延長保育利用料が月1,000円となるコースがあります。
- 豊田市:2027年度の案内では、こども園等の3〜5歳児の延長保育料は0円。0〜2歳児も、市民税所得割額による一定の区分まで0円です。
- 碧南市:市民税額等による階層区分に応じた延長保育料です。
- 名古屋市:延長保育などの利用料は、市民税額に応じた階層別に決まると案内しています。
園、年齢、利用時間などの条件が異なり、岡崎市の方が安い場合もあります。単純な料金ランキングではありません。
他市の制度をそのまま移すのではなく、岡崎市でも比較できる選択肢を示すことを求めました。
増収をほぼ変えず、3段階に分けると
たとえば、こんな分け方も考えられます。市から示された区分別の人数を使って、私も試算してみました。
料金を支払う920人について、増額を月300円・700円・1,250円の3段階に分ける例です。図の料金は、現在月1,000円の「標準時間認定・18〜19時」で示しています。

一律に1,000円増やすと、月の増収は92万円。この3段階なら、92万1,050円です。増収をほぼ変えずに、税額が低い区分の値上げ幅を抑える分け方もできます。
その分、税額が高い区分には、市の改定より月250円多く負担していただく形です。
もちろん、これはあくまで一例です。この金額が正解だと決めつけるのではなく、こうした選択肢も並べて、どの分け方がよいかを議論してほしかったと思っています。
私は反対しました
賛成した議員からは、値上げの必要性や金額の根拠が示されました。
ただ、本会議の賛成討論では、所得や世帯状況に応じて「誰に、いくら負担してもらうか」という分け方に踏み込んだ説明はありませんでした。
ひとり親家庭など、配慮が必要な方の負担をどう抑えるか。今回の改定で、その検討がないまま、市の提案をそのまま受け入れてよいのか。私には、この疑問が残りました。
値上げする理由に合理性があっても、一律に1,000円を求める方法がよいかは、もう一つ踏み込んで考えるべきだと思います。
私が反対した中心は、減免基準の見直しを検討せず、一律に増額することです。保育を続ける財源と、家庭ごとの負担への配慮を、一緒に検討してほしいと考えました。
保育の現場と、家計の両方を支えたい
保育士を確保するためのお金も、働きながら子育てをする家庭の暮らしも、大切にしたい。その両方を考えたうえでの反対です。
私自身、子育てをする立場でもあります。お迎えの時間と仕事の都合を、料金だけで割り切れない家庭があることを忘れたくありません。
議決された以上、まずは新料金と免除の対象が正確に伝わるよう確認します。そのうえで、公費による負担軽減や、所得・世帯状況に応じた配慮について、引き続き市に求めていきます。
9月定例会全体の決算や暮らしに関わる議案は、閉会報告の記事にまとめています。
出典・確認した資料
- 令和8年9月定例会 議案書(第110号議案、45〜46頁)
- 岡崎市 利用者負担額等を定める条例(第5条・別表第1)
- 令和8年度保育料一覧表(0・1・2歳児クラス)
- 岡崎市こども部保育課から本多勝への回答(2026年9月11日、問1〜4・問6・情報提供に関する回答)
- 2026年9月18日本会議の討論記録(手元の録音・文字起こし)
- 安城市 令和9年度利用ガイド(21〜22頁)/豊田市 令和9年度こども園等のご案内(12〜14頁)
- 碧南市 保育園・認定こども園への入園案内/名古屋市 教育・保育情報サイト「いくらかかるの?」