ふじ子が亡くなった後、東公園動物園にはどんな動物が来るのか。
無料で遊びに行ける場所は、これからも続くのか。
岡崎のご家族にとって、
気になる話だと思います。
令和8年10月22日の福祉病院委員会で、市から今の状況と課題の説明がありました。
私も、地元企業とのコラボや、
企業版ふるさと納税について聞きました。
※会議録の公開前のため、当日の説明・質問・答弁は要旨です。数字は配布資料が基本で、口頭の説明と計算した数字は分けて書いています。
先に結論から。市は無料を続けたい考えです
市は、入園無料を伝統として続けたい考えです。
ただし、次に迎える動物や、そのための改修・財源は検討中。
次の動物も、有料化も決まっていません。
動物園では、令和8年10月現在、37種241点の動物を展示しています。
ふじ子が亡くなった後も、動物たちの暮らしと、来園する人を迎える仕事は続いています。
今回は、次の動物の候補、無料を続けるお金、私が聞いた応援の仕組みを整理します。
※展示数:配布資料6ページ。無料継続の考え:当日の説明。
次の動物は?キリンやマレーバクなどを検討中
次の動物は、人気だけで選べるわけではありません。
今のゾウ舎で健康に暮らせるか、改修や餌にどれくらいお金・手間がかかるかも論点です。
資料と当日の説明では、次の候補が挙がりました。
| 候補 | 現時点で分かっている条件・課題 |
|---|---|
| ゾウ | 単独飼育は原則しないという動物福祉の考え方があり、広い飼育空間も必要。再び迎えるのは難しい状況。 |
| キリン | 他園から迎えられる可能性はある。ただし今の獣舎は出入口の高さが足りず、構造の補強などが必要。改修費を確認中。 |
| クロサイ | 他園から譲り受けられる可能性はある。一方、餌になる木の枝や葉を継続して確保するのが大きな課題。 |
| カバ | プールや糞を処理する浄化装置などが必要。資料では浄化装置に1〜3億円が示され、導入には難しさがある。 |
| マレーバク | 市の説明では、今の獣舎をほとんど直さず飼える。園どうしで無償の貸し借りをする「ブリーディングローン」が可能か確認中。 |
※配布資料14〜19ページと当日の説明を整理。すべて検討中で、導入の決定・約束ではありません。

会いに行きたい動物を思い浮かべながら、その動物が無理なく暮らせる環境も一緒に考えていきたいところです。
無料でも、運営には年間約1.3億円の持ち出し
入園無料でも、動物の餌代や飼育員の人件費はかかります。
配布資料の令和6年度予算では、
東公園動物園の支出と収入の差は
1億3,285万4千円です。
これは、令和6年度予算の数字で、現在の決算額ではありません。
| 東公園動物園の収支 | 令和6年度予算 |
|---|---|
| 収入 | 1,396万6千円 |
| 支出 | 1億4,682万円 |
| 収入を差し引いた持ち出し | 1億3,285万4千円 |
| 資料に記載された年間来園者数 | 23.6万人 |
同じ資料の持ち出し額を来園者数で割って計算すると、来園者1人あたりの目安は次のようになります。
| 動物園 | 1人あたりの持ち出し(計算) |
|---|---|
| 岡崎市・東公園 | 約563円 |
| 豊田市・鞍ヶ池 | 約644円 |
| 名古屋市・東山 | 約748円 |
この計算では、東公園の額は、比較したほかの園より少なくなっています。
ただし、規模や展示内容、費用を計上する範囲まで同じとは限りません。
これだけで運営の良し悪しは決められません。
※配布資料20ページ「近隣動物園の収支」(令和6年度予算・JAZA資料より)。東公園は132,854,000円÷236,000人で約563円。ほかの園も同じ表の差引額を来園者数で割った概算です。
ふじ子の餌やり体験も、運営を支えていました
市の説明では、ふじ子の餌やり体験は、年間1,000万円近くの収入になっていました。
資料の動物園全体の飼料費は約1,118万円。
説明では、餌やり体験の収入が、園全体の餌代をほぼまかなっていたということです。
ふじ子の存在は、無料の動物園を支えるお金の面でも大きかったのだと分かります。
ただし、ふじ子の後の収支の全体は、
今回の資料では分かりません。
持ち出しがそのまま同じ額だけ増えたとは言い切れません。
100円を取ったら、すべて解決する?
有料化した場合の試算も示されました。
これは、有料にしてはどうかという意見に対する試算です。
市が有料化を決めたものではありません。
前提は、年間20万人が
100円ずつ支払う場合。
収入は2,000万円ですが、チケット販売やゲートの管理にもお金がかかります。
| 販売方法 | 毎年の収支増分 | 別に必要な初期投資 |
|---|---|---|
| 紙チケット | 1,144万円 | 券売機900万円+ゲート工事450万円 |
| ネット販売 | 1,620万円 | ゲート工事1,050万円 |
※配布資料21ページ。毎年の収支増分は、入園料収入から、毎年の徴収の費用を引いた額です。初期投資は含まず、動物園全体の黒字でもありません。
払う人の数や、子どもの扱いが変われば、結果も変わります。
また、試算の20万人と、収支比較表の23.6万人は別の数字です。
無料を続けるためには、毎年の運営費と、大きな改修費の両方を考える必要があります。

右:私の考え
私が聞いたのは、企業と一緒に応援する仕組み
私は、おかざき楽の湯などとの企業コラボが始まった経緯と、今後の展開を聞きました。
あわせて、企業版ふるさと納税をどう活用していくかも質問しています。
答弁の要旨は、次のとおりです。
- 動物園の応援隊として、企業とのコラボを募集している。
- 現在は10社ほどと、クッキーやTシャツなどの商品を展開している。
- 売上の1〜2割が、動物園の収入になっている。
- キリン舎などの大きな改修には、企業版ふるさと納税の活用を、来年度以降の計画で具体的に進めたい。
地元では、おかざき楽の湯の応援タオル(第1弾・2024年12月)が1,200枚完売し、24万円が動物園へ寄附されました(発表)。
応援する商品の購入が、動物園を支えることにつながる。
すでに動いている仕組みを、これからどう広げるかという話です。
企業版ふるさと納税は、企業が自治体の対象事業に寄附し、税の軽減を受ける仕組みです。
当日は、企業の実質負担が約1割となる場合があることにも説明がありました。
※実際の負担は税の軽減の適用状況などによって異なります。本社のある自治体への寄附は制度の対象外です。地元企業の商品コラボとは別の仕組みとして整理しています。制度の一般的な説明は神奈川県の公式案内を参照。
キリンの導入や、その改修事業が決まったという答えではありません。
大きな工事を支える財源の候補として、これから具体化したいという考えです。
応援を受ける側の手間も考える
ほかの委員からは、グッズ販売や、公園全体との連携についての質問もありました。
市の説明では、オリジナルグッズの売上は年間200万円超。
一方、専用の売店の建物はありません。
指定管理、つまり民間などに管理を任せる方法も、過去2回検討したとのこと。
市は動物園単体では難しいと考えています。
公園緑地課と連携し、公園側に売店やカフェを呼ぶ形がよいという考えが示されました。
クラウドファンディングは、返礼への対応が職員の大きな負担になったという説明もありました。
今後は返礼なしの寄附、企業版ふるさと納税、ネーミングライツを中心に考えたいとのことです。
※ネーミングライツは、施設などに愛称を付ける権利を企業等に提供する仕組み。市全体の方針に合わせて検討中です。売店・カフェの誘致や運営方法も、決定事項ではありません。
サル舎の暑さ対策と、動物が暮らしやすい環境
今いる動物の環境を良くする取組も進んでいます。
市の説明では、真夏のサル舎のコンクリートは、表面温度が47度を超えていました。
すでにカーテンやミストで対策しています。
さらに、補助金を受けて土を盛る改修の予算が承認され、令和9年1月ごろの完成予定とのことです。
※暑さ対策の写真・イメージは配布資料12ページ。表面温度、補正予算の承認、完成時期は当日の説明によります。
動物福祉とは、動物が心も体も健康に暮らせるようにする考え方です。
東公園動物園は令和7年に外部評価を受け、資料では「基準に準拠」とされています。
同時に、次の4つの指摘があり、改善に取り組んでいるとの説明でした。
- モルモットが広い場所で運動する機会。
- ニホンザルのバックヤードの明るさ。
- リスザルの展示室の暑さ。
- 水槽の水質検査と記録。
※評価結果と指摘事項:配布資料24ページ。対応状況:当日の説明。
さらに、博物館法に基づく「指定施設」になることも目指しています。
市の説明では学芸員が2人おり、動物を通して学ぶ場としての役割を育てたい考えです。
※配布資料25ページと当日の説明。指定済みという意味ではありません。
これからは、市民の声を聞きながら考える段階
新しいコンセプト案は、「おじゃまします 動物たちの住む世界」。
令和6年度のJAZA動物愛護標語コンクールで金賞を受賞した言葉です。
動物たちの暮らす世界に、人がおじゃまする。
動物やその環境を大切にする気持ちを育てたいという考えが、資料に示されています。
市は総合計画に位置づけ、有識者会議や市民会議を開く方向です。
南公園の整備で行った市民との対話も参考にしたいとの説明でした。
検討は始まったばかりで、市民の知恵も借りたい段階です。
会議の開催時期や、新しい動物を迎える時期は、今回の説明では示されていません。
※コンセプト案:配布資料27ページ。今後の進め方:当日の答弁の要旨。JAZAは日本動物園水族館協会です。
私はこう考えます
私は、無料で立ち寄れる良さを残しながら、応援や体験、地元企業との連携を育てたいと思います。
動物が無理なく暮らせることと、毎年続けられる運営を、一緒に考えたいからです。
100円の入園料で見込める増収は、チケットの経費を引いて、試算で年1,144万〜1,620万円でした。
ふじ子の餌やり体験は、説明では年1,000万円近くの収入を生んでいました。
体験や応援でも、かかる費用を差し引いて同じくらいを残せれば、入園料に頼らずに財源を補えると考えます。
足をけがしている今、車いすやベビーカーで回れる順路の案内も、気になるところです。
次に来てほしい動物を考える場には、子どもたちの声も入ってほしい。
応援を集める窓口は、ほかの担当課や地元の団体と連携する方法も考えられます。
飼育の仕事を担う職員に、負担が集中しない形にしたいと思っています。
※この節は私の考えです。委員会で実際に質問した内容は、前述の企業コラボと企業版ふるさと納税についてです。
無料の動物園、あなたならどうしますか
ここからは、委員会の報告を少し離れて、
みなさんと考えたいことです。
読み終えたら、「自分ならこうする」を
一言だけ聞かせてください。
東公園動物園は、開園から40年以上、
入園無料で開かれてきました。
ふじ子がいた頃は、
「ゾウが見られる無料の動物園」として
全国に知られていたそうです。
子どもと気軽に、何度でも通える。
岡崎の家族にとって、
かけがえのない場所だと思います。
※開園からの年数と「ゾウが見られる無料の動物園」は、当日の保健部長の説明によります。
その「無料」を、市の約1.3億円が支えています
令和6年度予算では、運営に
約1.3億円の持ち出しがあります。
入園料はありません。
収入は売店などの約1,400万円だけ。
残りは、市の予算で支えています。
この先、大きなお金の判断も控えています。
動物によっては、獣舎の改修が要ります。
たとえばカバでは、糞を処理する浄化装置に
1〜3億円という数字が示されました。
ゾウ舎の改築工事は、約2億9千万円でした。
市の説明では、全国でも黒字の動物園は
ほとんどないそうです。
※持ち出し:配布資料20ページ。カバの浄化装置:配布資料と当日の説明。ゾウ舎:平成27年9月に議決した工事契約。工期の延長による変更後は2億9,417万7,960円。
岡崎市の財布に、余裕はあるのか
岡崎市は、比較的「稼ぐ力」のある市です。
財政力指数は1.01です。
1を超えると、国の普通交付税を
受けない水準とされます。
一方で、「経常収支比率」は90.1%でした。
これは、毎年入る市税などのうち、
人件費や福祉、借金の返済など、
毎年必ずかかる経費に充てた割合です。
監査委員の意見書では、
70〜80%が望ましいとされています。
新しいことに回せるお金は、
決して多くはありません。
※令和7年度の岡崎市決算審査意見書(監査委員)より。普通会計ベースの暫定値。財政力指数は3年平均です。
「削らないで」の声も、同じ一つの予算から
この秋、市の予算へのご意見を、
公式LINEやフォームで募りました。
届いた声には、こんなものがあります。
- 学童の料金や補助で、家庭の負担を増やさないでほしい。
- 延長保育の料金を上げないで、子どもたちのおやつも続けてほしい。
- 第2子以降の保育料を軽くしてほしい。
- 子どもの家は、地域で子どもが育つ大事な場所。続けてほしい。
反対に、こんな声もありました。
- 利用者が限られる施設は廃止して、その分を子育て支援に回してほしい。
どれも、暮らしから出てきた
もっともな声です。
そして、動物園の約1.3億円も、
子育てのお金も、
同じ市の一般会計から出ています。
※声は、本多勝が令和8年秋に募ったご意見を、趣旨を変えずに要望の形で短くしたものです。市の公式な調査ではありません。料金やおやつの見直しは、中身と時期を市に確かめます。
比べたいのは「どちらが大事か」ではありません
動物園と子育て支援を並べて、
どちらかを削れという話ではありません。
動物園も、子どもが命にふれる場所です。
「もっと削れるものがほかにあるはず」
という声も、そのとおりだと思います。
だからこそ、動物園だけを特別扱いせず、
どの事業も同じ物差しで見たいのです。
- 何のためにあるのか。
- 誰が、どれくらい使っているのか。
- 毎年いくらかかり、これから大きな工事が控えていないか。
有料にしてはどうかという意見もあり、
市はその試算も示しています。
それでも市は、無料を続けたい考えです。
私も、無料の良さを残しながら、
応援や体験で支える形を育てたいです。
あなたなら、どうしますか
たとえば、こんな考え方があります。
- 無料のまま、今の形で続ける。
- 無料は守りつつ、応援や体験で収入を増やす。
- 入園料をいただき、動物の環境づくりに回す。
- 大きな改修は控え、今いる動物を大切にする。
- ほかの予算を優先し、動物園の規模を見直す。
正解は一つではありません。
ご家族や友人と「うちならどうする?」と
話すきっかけになれば、うれしいです。
公式LINEに、「自分ならこうする」を
一言だけ送ってください。
いただいた声は、委員会での質問や、
市への予算の要望に生かします。
よくある質問
Q. 東公園動物園は有料になるのですか?
有料化は決まっていません。市は無料を続けたい考えです。
示された100円の試算は、有料にした場合の収入と費用を考えるためのものです。
Q. ふじ子の後に来る動物は決まりましたか?
まだ決まっていません。ゾウ、キリン、クロサイ、カバ、マレーバクなどが検討されています。
獣舎の改修、餌の確保、動物福祉、他園から迎えられるかなどを確認している段階です。
Q. 本多は、動物園をなくしたほうがいいと考えているのですか?
いいえ。私は、無料の良さを残しながら、応援や体験で支える形を育てたいと考えています。
そのうえで、毎年の費用や子育ての声も、同じ予算の中で一緒に考えてほしいと問いかけています。
Q. ふじ子の骨格標本は、いつ完成しますか?
市の説明では、令和9年1月の完成予定です。
クラウドファンディングと寄附は目標額に届いたとのことです。披露の日は、まだ示されていません。
Q. 動物園への希望は、どこに送れますか?
私の公式LINEへお寄せください。
市が行う正式な意見募集ではなく、本多勝へのご意見として受け付けます。
最後に。来てほしい動物、あったらうれしい場所を教えてください
どんな動物に来てほしいか。
どんな動物園なら、また家族で行きたくなるか。
公式LINEで、一言だけでも教えてください。
動物の名前だけでも、ベビーカーで通りやすくしてほしい、という声でもかまいません。
令和9年1月に完成予定の、ふじ子の骨格標本も楽しみにしながら。
これからの東公園動物園を、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。
▼開園情報・園内マップなど
岡崎市公式「東公園動物園」
出典
- 岡崎市動物総合センター「東公園動物園について」(令和8年10月22日、全27ページ)。展示動物6ページ、暑さ対策12ページ、候補動物14〜19ページ、収支20ページ、有料化試算21ページ、寄附等22ページ、動物福祉24ページ、指定施設25ページ、コンセプト案27ページ。
- 令和8年10月22日・福祉病院委員会での説明と質疑。会議録公開前のため、当日の記録に基づく要旨。
- 岡崎市公式「東公園動物園」(施設案内。委員会の答弁の出典ではありません)。
- 神奈川県「企業版ふるさと納税」(制度の一般的な条件の補足。2026年10月20日更新)。
