ある日、近隣の高浜市にお住まいの方から、InstagramでDMをいただきました。
行動を起こす一番のきっかけとなったのが、本多議員のHPで愛知県内の医療費無償化の広がりを知ったことでした
その方は、高浜市議会に1人で請願を出されていました。求めたのは、高校生世代までの通院医療費の全額助成。結果は、賛成6・反対6でした。
その方が、三竹はるかさんです。ご本人の了承をいただいたので、お名前とともに、経緯と私が感じたことを書きます。
先に結論から
三竹さんが出したのは、「高校生世代までの通院医療費の全額助成を求める請願」です。高浜市議会の令和8年9月定例会で審議されました。
本会議の採決は、賛成6・反対6の可否同数。議長の裁決で、不採択となりました。
ただ、話はそこで終わっていません。同じ定例会で、「高校生世代の通院医療費助成に関する持続可能な制度設計を求める決議」が可決されています。
一人の市民の声が、議会の議論を一歩前に進めた。私はそう受け止めています。
岡崎の方に向けては、岡崎市の高校生医療費が令和9年4月1日から無料になること、そして岡崎でも請願・陳情で議会に、予算要望の声で市に届けられることを、後半にまとめました。
※採決の数字は三竹さんのInstagramの投稿、請願と決議の件名・結果は高浜市議会の「令和8年9月定例会 会議結果」によります。
三竹さんが、請願を出すまで
三竹さんは、その経緯をInstagramで「議会の解像度」という言葉を使ってまとめています。次に行動したい市民の参考になるように、という思いからだそうです。ここでは要点だけを短く紹介します。
出発点は、ご家族の経験でした。三竹さんの投稿によると、双子のお子さんのうち1人が乳幼児期に病気になり、救急や手術を経験されたそうです。そのとき、中学生まで医療費が無償だったことが心の支えになった。その安心を、高校生にもという思いが請願につながっています。
署名集めは、周りの人の負担が大きい。そう考えて、1人で提出する道を選ばれました。
そこからの準備が、本当に丁寧です。顔なじみだった高浜市議会の福岡里香議員に相談し、過去の一般質問を調べ、他の会派の議員にも手紙を書いた。会議録から審議が終わる時間を予測して、仕事をフレックスや在宅に調整して傍聴し、後半はライブ配信で見届けたそうです。
三竹さんは、市民の役割を「現場の声を届けて、議論のきっかけを作ること」と書いています。制度をどう設計するかは、行政と議会の役割だと。
投稿の締めくくりの一文が、心に残りました。
1人でも、特別な知識がなくても、市民の声は街を動かせる
▼三竹はるかさんのInstagramの投稿
https://www.instagram.com/p/DeJoHpkGmxM/
▼三竹はるかさんのInstagram(@mitake.haruka_takahama)
https://www.instagram.com/mitake.haruka_takahama/
6対6という数字に思うこと
結果だけを見れば「不採択」です。でも私は、6対6という数字に目が留まりました。
高浜市議会の議員は、名簿(令和8年5月22日現在)では13人です。議長を除く12人が、ちょうど半分に分かれた。これは、議員一人ひとりが請願の中身に向き合い、悩んで判断した結果だと思います。
賛成した側にも、反対した側にも、それぞれの理由があったはずです。財源のこと、ほかの施策との順番のこと。どちらが正しいという話ではなく、真剣に議論されたこと自体に意味があります。
※高浜市議会の各会派・各議員の賛否の内容は、この記事では扱いません。
正直に、うれしかったです
DMをいただき、三竹さんの投稿でもきっかけとして私のホームページが挙げられているのを読んで、本当にありがたいと思いました。
三竹さんが読んでくださったのは、6月議会の報告として書いた「岡崎市の高校生医療費はいつから無料?令和9年4月から|6月議会」という記事です。県内のほとんどがすでに導入している中で、岡崎市は後発になったことも、岡崎の方に向けて書きました。
それが巡り巡って、近隣の街の誰かの「考えるきっかけ」になり、実際の行動につながった。これからの励みになる出来事です。
ただ、ここははっきり書いておきます。動いたのは三竹さんです。
記事を読むことと、実際に議会へ足を運ぶことの間には、大きな距離があります。仕事と子育ての合間に会議録を読み、手紙を書き、傍聴の時間を作る。それを1人でやり切って、可否同数まで議論を動かしたのは、本当にすごいことだと思っています。
岡崎市も、令和9年4月から高校生世代まで無料に
岡崎の方に、まず知っておいてほしいことがあります。
岡崎市では、令和9年4月1日から、子ども医療費の受給者証の対象が高校生世代まで広がります。今年の6月議会で可決されました。
対象は、18歳になって最初の3月31日までの方です。働いている方など、学生でない方も含まれます。受給者証を見せれば、保険診療の自己負担が無料になります。
平成21年4月2日から平成23年4月1日までに生まれた方は、申請が必要です。受給者証は、令和9年3月中旬をめどに届きます。
▼岡崎市「令和9年4月1日から子ども医療費受給者証の対象を高校生世代まで拡大します!」
https://www.city.okazaki.lg.jp/kosodate/ninshin/1012190/1012192/1016636.html
決まるまでの経緯は、三竹さんが読んでくださった元の記事に書いています。
▼岡崎市の高校生医療費はいつから無料?令和9年4月から|6月議会
https://www.sho-honda.jp/okazaki-council-2026-june/
比べる情報があると、市民は気づける
三竹さんが動けたのは、県内の広がりを知り、自分の街と比べられたからです。
制度は、一つの街だけを見ていても、それが当たり前なのかどうか分かりません。ほかの街と並べたとき、はじめて「うちの街はどうなんだろう」と気づけます。
私が、岡崎の数字や他市との比較をこのサイトで出し続けているのは、そのためです。西三河9市1町の税の負担を、条例を一つずつ開いて比べたこともありました。
▼「岡崎市は税金が高い」は本当か?西三河9市1町を条例で調べました
https://www.sho-honda.jp/okazaki-tax-comparison-nishimikawa/
比べる材料を出し続けることは、これからも私の仕事の一つだと思っています。
岡崎市民が、自分で声を届ける方法
岡崎でも、市民が議会に直接声を届ける方法があります。岡崎市議会では、紹介議員を置いたうえで、請願を出すことができます。紹介議員がいなくても出せる「陳情」という方法もあります。
| 項目 | 請願 | 陳情 |
|---|---|---|
| 出し方 | 決まった形式の文書で、議長あてに出す | 決まった形式の文書で、議長あてに出す |
| 議員の紹介 | 必要(内容に賛成する議員の署名か記名押印) | 不要 |
| 審査 | 委員会で審査し、本会議で採択か不採択かを決める | 委員会で意見を述べ合う(採択・不採択の結論は出さない) |
| 結果 | 請願者に通知。採択されたものは市長などに経過と結果の報告を求めることも | 陳情者に審査内容を通知 |
受け付けはいつでもしています。締切は、定例会前の議会運営委員会の2日前の午後4時。ここまでに出せば、その定例会で審査されます。それより後は、次の定例会での審査になります。
陳情は、郵送やオンラインでも出せます。ただしその場合は「議会への要望事項」として扱われます。議会運営委員会理事会に写しが配られるだけで、委員会の審査にはなりません。
※出典:岡崎市議会「市議会への請願と陳情」(2026年6月29日更新)、地方自治法第124条・第125条、岡崎市議会請願書及び陳情書取扱要綱、議会要覧(令和7年度版)。議長・副議長と、その請願を審査する委員会の委員長・副委員長は紹介議員になれません。
▼岡崎市議会「市議会への請願と陳情」(書き方・提出先・締切)
https://www.city.okazaki.lg.jp/shigikai/seigan/1009852.html
最初の一歩は、上の市議会のページを読み、岡崎市議会事務局議事課(市役所西庁舎2階)に様式と出し方を聞いてみることです。紹介議員は、出す人が議員に直接お願いします(議会事務局は議員を紹介できません)。
もっと気軽な入口:予算要望の「声」
請願まではハードルが高い、という方もいると思います。
私はいま、来年度(2027年度)の予算要望に向けて、岡崎の「困った」「こうなったらいいのに」を募集しています。名前は不要、1分で書けます。
いただいた声は全部読み、11月に市長へ出す予算要望に活かします。募集は10月25日(日)までです。
▼声の募集|岡崎の予算に、あなたの声を
https://www.sho-honda.jp/2026koe/
岡崎の議会で、市民の声はどう審査されるか
岡崎市議会は37人。会派の中で議論を重ね、会派ごとにまとまって結論を出すことが多い議会です。
これは、多くの議員が責任を持って判断を積み上げるための、大切な仕組みだと思っています。
請願は委員会で審査されます。その委員会に紹介議員がいれば質疑があり、そのあと委員がそれぞれ意見を述べます。そして本会議で、採択か不採択かが決まります。市民の声は、こうして委員会と本会議という公開の場で議論されます。
一方で、もし岡崎市で市民の方が1人で請願を出したとき、その声が今回の高浜市のような議論につながるだろうか。受け止める側の一人として、そう自分に問いかけました。
答えはまだ出ていません。ただ、届いた声を自分がきちんと中身で読めているか。それは、これからも問い続けたいと思っています。
この記事で書いていないこと
高浜市議会の各会派・各議員の賛否の中身や、高浜市の医療費助成の財源の議論は、この記事では扱っていません。
三竹さんの請願までの5つのステップは、ご本人の投稿に詳しく書かれています。この記事では要点だけを紹介しました。
よくある質問
Q. 岡崎市の高校生の医療費は、いつから無料になりますか?
令和9年4月1日からです。18歳になって最初の3月31日までの方が対象で、平成21年4月2日から平成23年4月1日までに生まれた方は申請が必要です。
Q. 岡崎市議会に請願を出すには、どうすればいいですか?
内容に賛成する議員に紹介議員になってもらったうえで、議長あてに文書で出します。請願者は1人でも複数でもかまいません。紹介議員がいない場合は、陳情という方法もあります。
Q. 請願と陳情は何が違いますか?
請願には、内容に賛成する議員の紹介が必要で、本会議で採択か不採択かが決まります。陳情は紹介議員がいらず、委員会で意見を述べ合う形で扱われます。
Q. 不採択になったら意味がないのですか?
そうは思いません。高浜市では、請願と同じ定例会で、制度設計を求める決議が可決されました。議論のきっかけを作ること自体に意味があります。
最後に
三竹さんは「1人でも、特別な知識がなくても」と書いていました。
岡崎でも、それは同じです。請願でも、陳情でも、予算要望の声でもかまいません。
いきなり大きなことをしなくて大丈夫です。まずは1分、身の回りの「困った」を書くところからで十分です。
その一つが、どこかで誰かの暮らしを変えるかもしれません。今回、私はそれを三竹さんから教えてもらいました。
三竹さん、本当にありがとうございました。
出典
- 高浜市議会「令和8年9月定例会 会議結果」 https://www.city.takahama.lg.jp/site/gikai/40098.html
- 高浜市議会「名簿」(令和8年5月22日現在) https://www.city.takahama.lg.jp/site/gikai/26376.html
- 三竹はるかさんのInstagramの投稿 https://www.instagram.com/p/DeJoHpkGmxM/
- 岡崎市「令和9年4月1日から子ども医療費受給者証の対象を高校生世代まで拡大します!」 https://www.city.okazaki.lg.jp/kosodate/ninshin/1012190/1012192/1016636.html
- 地方自治法 第124条・第125条
- 岡崎市議会「議会提要」(令和6年10月)収録の請願書及び陳情書取扱要綱、議会運営等に関する申し合わせ事項
- 岡崎市議会「議会要覧」(令和7年度版)
