「議員って、会議中に寝てるの?」
先日、知人からこんなことを聞かれました。
「国会ではよく寝てる映像が出るけど、
岡崎市議会はどうなの?」
……良い質問です。
正直に言います。
私には答える権限がありません。
なぜかは後で説明します。
ただ一つだけ言えることがあります。
私は、一度も寝たことがありません。笑
それだけは、胸を張って言えます。
最近、「居眠り議員」がバズりやすくなっている
SNSやYouTubeを見ていると、
地方議会の本会議中に居眠りをしている議員の動画や写真が
バズっているのを見かけることが増えました。
「税金で給料もらって寝てる」
「こんな議員はクビにしろ」
コメント欄はいつも炎上気味です。
気持ちはよくわかります。
私も同じ感覚を持つ市民の一人として、
「それはどうなんだ」と思うことはあります。
でも——
これに正面から切り込もうとした若手議員が、
逆に「懲罰動議」を出されて苦しい立場に追い込まれた、
という事例が全国で相次いでいます。
あま市で起きたこと
少し前の話ですが、愛知県内でこんな出来事がありました。
あま市議会で、1期目26歳の若手議員が、
一般質問の場で「一般質問をしない議員がいる」と切り込む発言をしました。
市民の立場からすれば、
「そうだ、言ってくれ!」となる場面です。
ところが——
その発言が「他の議員を侮辱し、議会の品位を貶めた」として、
懲罰動議が提出されました。
問題とされた発言は、こんな内容です。
「本当に市民を守る覚悟があるかをここにいる皆さんにお伺いしたい」
「甚だ疑問に思います」
……これ、侮辱でしょうか。
結果は賛成多数で懲罰(戒告)が決まりました。
戒告は一番軽い処分ですが、
就任して間もない議員にとってのインパクトは小さくありません。
傍聴した市民からは、強い憤りの声が上がったそうです。
「正義感で切り込んだら、制度に潰された」——
そんな構図が、全国の議会で繰り返されています。
なぜ「言えない」のか——ルールの話
本題に戻ります。
なぜ私が居眠り議員がいるかいないか言えないのか。
理由は3つあります。
もし、居眠りしている議員がいたとしても、、
① 会議中のSNS投稿・撮影は明確に禁止されています
議会から貸与されたタブレット端末では、
SNSへの投稿・撮影・録画が禁止されています。
その場でリアルタイムに投稿するのは、ルール違反です。
② 事後に投稿する場合も、政治倫理条例に抵触するリスクがあります
岡崎市議会議員政治倫理条例には、こんな一文があります。
「名誉又は社会的信用を低下させる目的でその者を誹謗中傷する言動その他の人権侵害のおそれのある行為をしないこと」
特定の議員を名指しで「寝ていた」と晒す行為は、
この条項に抵触するとみなされ、
政治倫理委員会の審査対象になる可能性があります。
③ 「議会の品位」という概念があります
会議規則には「議員は、議会の品位を重んじなければならない」とあります。
同僚議員をSNSで晒すことが「品位を損なう」と判断されれば、
あま市と同じ展開になりかねません。
正直、もどかしいです。
でも、これが今の制度です。
じゃあ、正当な手続きは何か
地方自治法第131条にはこう書かれています。
「議場の秩序を乱し又は会議を妨害するものがあるときは、
議員は、議長の注意を喚起することができる」
つまり、議長に言えということです。
SNSで晒すのではなく、議長に促す。
地味で、全然バズらない。
でも、それがルールです。
議会って、不思議な場所です
議員になって感じることがあります。
議会は、多数決で動く場所です。
当たり前のことですが、これが意外と深い問題を生みます。
問題に切り込む議員、是正を求める議員は、
当然ながら多数派の議員たちと対立します。
多数派から見れば「扱いにくい存在」であり、
嫌煙される傾向があります。
そして——
少数意見は、多数派の論理で、静かに潰されていきます。
懲罰動議も、そのひとつです。
「品位を損なった」という名目で、
不都合な発言をした議員を、多数決で黙らせることができる。
問題提起をした側が「品位を損なった」と言われ、
問題を起こした側は守られる——
そんな逆転現象が、冗談ではなく起きることがあります。
ただ、時代は変わってきました。
SNSの普及によって、
議会の内側で何が起きているかが、
少しずつ外に伝わるようになりました。
多数派が少数派を黙らせようとしても、
それが市民の目に触れれば、今度は逆に多数派が問われる。
議会という閉じた空間の論理と、
市民社会の常識は、必ずしも一致しません。
そのギャップが、SNSによって可視化されはじめています。
あま市の懲罰動議がSNSで拡散されたのも、
その一例です。
昔ならそのまま終わっていた話が、
今は全国に広がる。
議会にとって、それは不都合かもしれません。
でも市民にとっては、ずっと必要だったことだと思います。
そして、議会には独特の慣習があります。
「昔からそうだから」で動いていることが、意外と多い。
外から見ると理解しにくいルールが、
内側では当然のこととして通っている。
若手議員ほど、正義感で突っ込んでいく。
でも、ルールを知らないまま動くと、
逆に足元をすくわれる。
私自身、議員になってから「これは知らなかった」と気づくことが、
まだ定期的にあります。
議会という場所は、
思っているより複雑で、
思っているより閉じています。
だからこそ、市民の皆さんが関心を持ち続けることが、
唯一の風穴になると思っています。
だから、見に来てほしいのです
私がここで言えることには限界があります。
でも、皆さんには制約がありません。(誹謗中傷はダメ)
岡崎市議会の本会議・委員会は、
市民であれば誰でも傍聴できます。予約不要、無料です。
実際に見れば、わかります。
誰が発言して、誰が黙って、
誰がどんな態度で議席に座っているか。
それを判断するのは、皆さん自身です。
私が「あの人が寝ていた」と書くより、
皆さんが自分の目で確かめるほうが、
ずっと意味があると思っています。
議会が市民に見られるほど、
議員の態度は変わっていきます。
それが、民主主義の基本だと思っています。
傍聴のやり方(思ったより簡単です)
岡崎市議会の傍聴は、予約不要・無料です。
「一度くらい見てみよう」という軽い気持ちで、ぜひ来てみてください。
本会議
傍聴席の定員58名(車いす席4名分あり)。
当日、西駐車場などから3階連絡通路を通り、議会傍聴専用入り口へ。
受付で住所・氏名を記入するだけです。
委員会
定員5名(先着順)。満席の場合は別室で音声を聴取できます。
西庁舎2階の議会事務局へお越しください。
本会議より距離が近く、議員の様子もよく見えます。
お子さん連れの方へ
本会議の傍聴時には、託児サービスも実施しています。
子育て中の方も安心して傍聴できる環境が整っています。
日程や詳細はこちらからご確認ください。
👉 岡崎市議会|傍聴について(公式ページ)



