令和7年12月定例会で、岡崎市議会議員の議員報酬(期末手当)を引き上げる議案が提出されました。
私・本多勝は反対討論に立ち、反対票を投じましたが、反対4名・賛成多数で可決されました。
改正の内容は、議員の期末手当の支給割合を年0.05月分引き上げる物で、市の説明では議員1人あたり年4万4,732円の増額です(引き上げ後は6月・12月とも100分の175)。
なぜ反対したのか、その理由と背景をできる限り丁寧に説明します(この記事の内容は令和7年12月時点のものです)。
そもそも「人事院勧告」とは?
人事院は、国家公務員の給与などについて国会と内閣に勧告する、中立の第三者機関です。民間企業の給与水準と国家公務員の給与を毎年比べ、その差を埋めるために「給与をこの水準にすべき」と国会・内閣に勧告することを人事院勧告といいます。
- 人事院勧告は国家公務員向け。地方議員・首長の報酬は直接の対象ではありませんが、各自治体が参考にすることが多い。
- 法的な拘束力はない。あくまで「勧告」であり、自治体は地域の実情・財政状況をふまえて独自に判断できる。
今回の条例改正は、この人事院勧告をもとに議員の期末手当を引き上げるものでした。私は「勧告の趣旨を否定するわけではないが、今の岡崎市の状況で引き上げを判断できる状況にはない」として反対しました。
反対した3つの理由
理由1:岡崎市の財政状況
本市は厳しい財政状況を繰り返し表明しており、令和8年度の予算編成も困難な見通しが続いていました(令和7年12月時点)。令和7年度には補助金や市民サービスの見直し・縮小も進められました。
ほかの自治体でも、同じ時期に同じ判断がありました。静岡県議会では、厳しい財政状況を受けて、県議会の3会派が議員の期末手当の引き上げを凍結することで合意したと報じられています(静岡新聞・2025年12月10日)。
また同じ12月定例会で、議員提出により、令和8年度の1年間に限って政務活動費を月額5万円から4万円に引き下げる条例が、全員の賛成で可決されました(本多も賛成)。
「身を切る改革」といえる取り組みが十分とはいえない以上、期末手当の増額も凍結すべきだと考えました。
理由2:物価高と市民生活の現実
円安・エネルギー・原材料の高騰で物価は上がる一方、実質賃金は十分に伸びておらず、多くの市民が「生活が楽になった」と感じられない状況が続いています。
同じ12月定例会では、生活支援・物価高対策の補正予算も計上されており、市民生活への配慮を重視した財政運営が求められている局面でした。
また本市は、公共施設の使用料の見直しなど、市民の皆様に一定の負担をお願いする判断もしてきました。市民に我慢をお願いしているこの局面で、議員の期末手当を「制度上できるから」という理由で機械的に引き上げることには、慎重であるべきです。
理由3:国政における判断との整合性
国会議員の歳費(月額)の引き上げについても、令和7年11月に与野党が当面見送る方針を固めたと報じられました。国が慎重な姿勢を示しているなか、本市でも同じように判断するのが自然だと考えます。
誤解のないように伝えたいこと
- 人事院勧告の趣旨そのものを否定しているわけではありません。
- 優秀な人材が政治を志し、安心して活動できるよう、議員報酬を適切な水準で確保すること自体には賛成の立場です。
- ただし、今の岡崎市の財政・社会状況では、引き上げを判断できる局面ではないと考えます。
採決の結果
| 立場 | 人数 | 備考 |
|---|---|---|
| 反対 | 4名 | 本多勝 ほか3名 |
| 賛成 | 32名 | 賛成多数で可決 |
| 議長 | 1名 | 採決に加わらない |
この日は4つの会派が全議案に賛成の立場から討論しましたが、期末手当の引き上げ(第161号議案)の中身に触れた討論はありませんでした。
討論は、賛否の理由を市民に示す場でもあります。反対の理由だけでなく、賛成の理由も市民に向けて語られることが大切だと、私は考えています。
昨年(令和6年12月)も同様に反対しました
議員報酬の引き上げは今年だけの話ではありません。昨年の12月定例会にも同様の議案(第122号議案)が提出され、私は反対の立場でした。この議案は起立による採決だったため、議員一人ひとりの賛否は会議録に残りません。財政が厳しい局面で機械的に報酬を引き上げることへの問題提起を、一貫して続けています。
本多勝より
今回の採決では、反対は4名にとどまりました。否決には至りませんでしたが、この問題を正面から問い続けることに意味があると考えています。
厳しい財政の中で市民の皆様に負担やご理解をお願いしているとき、議会が行財政改革に本気で向き合っているかどうか。その姿勢こそが問われています。
金額の大小の問題ではなく、議会としての覚悟と姿勢の問題です。今後も市民の皆様の視点から、岡崎市議会のあり方に向き合ってまいります。